タイゆかりの小説?松本清張「熱い絹」を読んで
こんにちは!うめこです。
日曜というのに、バンコクは雨季のためお昼から雨が降り出しました。
お家で読書ということで、今日はタイゆかりの小説?松本清張の「熱い絹」の感想を書きます。ネタバレしているので、読みたくない人は読まないでください。
「熱い絹」はタイのアメリカ人シルク商、ジムトンプソンの失踪事件を下敷きに書かれた小説です。
ジムトンプソンの作ったブランドは高級タイシルクとして有名で、年2回のセールも駐妻さんたちに人気があります。色使いやデザインなど素敵ですよ!
ジムトンプソン失踪事件は未解決で自殺説、政治絡みの陰謀説などいろいろな説があり、ネット検索してみると大変興味深いです。
さて、本の内容に戻ります。
タイゆかりの日本の小説として、バンコクの紀伊国屋なんかに並べてあるのですが
まったくタイが舞台ではありません!
始まりは、東京の骨董屋の店先で一人の染色デザイナーが美しいクメール彫刻と出会うところから始まります。彫刻はカンボジア、アンコールワット近郊のパンティアイ・スレイ遺跡の彫刻を思わせるような赤茶色の素晴らしいものでした。
小説の影響もあってカンボジア旅行の際に訪れたパンティアイ・スレイ遺跡。彫刻が細かく大変美しい遺跡でした。
小説の舞台はその後、軽井沢に場所を移し、あとはマレーシアのカメロンハイランドとなります。
カメロンハイランドはさまざまな珍しい昆虫で有名なところで「香川照之の昆虫すごいぜ!」でもカマキリ先生が訪れています。作中でも昆虫がキーワードとなってカメロンハイランドに結びついていきますよ。www.nhk.or.jp
事件は軽井沢で起こった事件を追って、カメロンハイランドへ入った長野県警の刑事達によって解明されていきます。異国からふらっときた刑事たちなのに、国際的な難事件を解決してしまう超優秀設定。
東南アジア各地を巡業する日本の歌劇団「川口舞踏団」も登場します。以前の別の記事で書いたベトナム戦争時にダンサーとして巡業し、タイで長らく居酒屋を経営されていた「まりこさん」を思い出します。
怪しい「摩訶神異稀代透視術師」も登場。カメロンハイランドを舞台に大がかりな透視術を行います。物語の一番の見せ場でしょう。ドラマ「トリック」を思わせるような作りでした。堤幸彦に映像化してほしいです。逆に堤監督がこの小説を読まれていて、これを念頭にしてドラマを作られたのかもしれませんが。
『トリック劇場版 ラストステージ』OFFICIAL SITE
日本を思わすようなカメロンハイランドの茶畑や山岳民族なども登場し、ラストの謎解きは夕焼けに染まる中国風の寺院が舞台です。(土サスでいったら海のそばの崖。)
うめこは犯人が途中からぼんやりと見えてきていたのですが、面白く一気に読めた小説でした。見せ場が多く、華やかでした。
うめこの父方の祖父はうめこが生まれるずっと前に亡くなっています。ただ太平洋戦争中、フィリピンに行っていて命からがら戻ってきたそうです。そして結婚し、うめこ父が生まれたそうなので物語の内容も少し近いものを感じました。(小説を読んでない人には意味がわからないかもしれません、すみません。)
バンコクにあるジムトンプソンの家。
中は撮影できませんでしたが、ジムトンプソンによって収集された美術品が飾られています。スパイをしていたとも言われるトンプソンの書斎の壁には、隠し引き出しもありました。
ジムトンプソンのシルクの店やカフェも併設しているので、バンコク観光にはおすすめです。